自転車油圧リムブレーキ MAGURA HS-33 ブリーディング

「 MAGURA」というメーカーをご存知でしょうか。
ドイツの機械部品メーカーで、オートバイパーツや自転車の油圧ブレーキなどを製造している会社です。
で、僕は20年以上同社の「HS-33」という油圧リムブレーキを(一応)愛用しています。
もちろんモデルチェンジしていますが、今でもHS-33は販売しています。
ただ現在、日本国内のどこで入手できるのか、僕は知りません。はたして買えるんでしょうか?
まぁかなりの珍品ですが、ディスクブレーキが普及する以前のMTB用ブレーキのなかでは、シマノVブレーキよりも強力なブレーキで、90年代大勢のプロ選手が使っていたものです。
このブレーキは「油圧」で作動します。ホースの中には「ブレーキオイル」が充填されているはずですが、経年によりどうしても「空気」が入ってしまいます。こうなってしまうと制動力がガタ落ちになります。
特に前ブレーキの効きが悪くなってきました。
ブレーキシューを抑えこみながら・・。
ブレーキレバーを握り込むと、シューを押し出す「圧」がダイレクトに伝わって来ない感覚があります。エアーを噛んでいるのは間違いないでしょう。
そんなわけで、今回はMAGURA HS-33のブリーディングをお見せします。かなり面倒な作業です。
初めて買ったカンパ製品。(笑)すごい高価です。
さて、まずはブレーキオイルの手配ですが、MAGURA純正ブレーキオイルがどこにも売っていません。
困ったものですが、どうもカンパニョーロの油圧ディスクブレーキはMAGURAのOEMだという(不確かな)情報を得ました。
オイルはカンパ純正を使うことにします。
赤いダイヤルを矢印方向に終わりまで回します。これは本体のシリンダーを一番奥まで引っ込めるためです。
銀のレバーを倒すとブレーキ本体が外れます。
そのままでもブリーディングは出来ると思いますが、絶対にオイルまみれになるのでこうした方が良いです。
前輪も外し、反対がわのブレーキも外します。
ブレーキシューもオイルが付いてしまうでしょう。とにかく余計なものは出来るだけ外しておきます。
ブレーキレバーを水平にします。
ブリーディング用のシリンジは2本必要です。先端のアタッチメントはもちろん専用品です。
シリンジの1本にオイルを充填します。
上に空気が溜まっていますが、これは放置しても大丈夫です。
シリンジ内に細かい気泡が入っている場合があるので、20分ぐらい放置します。
留めているのは大型の洗濯バサミです。
その間に、オイル対策の養生、ボロ布を用意します。
シリンジは本体に繋げます。
繋げました。
全体はこんな感じ。
シリンジは常にブレーキより上の位置をキープします。でないとエアーを噛みます。
空のシリンジはレバー側に繋げます。ここは芋ネジで塞がっています。
こんな感じ。
これでブリーディングの準備が出来ました。    大変でしょ。(笑)
新オイルを注入していきます。
焦らず静かにゆっくりです。でないとエアーを噛みます。
レバーがわから古オイルと共に、気泡が押し出されて行きます。
やっぱり空気が入っていました。
オイルの色が変わりました。新オイルが行き渡りました。
ここでレバー側のシリンジは外し、芋ネジを戻します。
ここからエアー抜きです。
レバーをゆっくり握り、この状態をキープします。
すると・・・。
ブレーキ本体側から気泡が浮いてきます。
この気泡がシリンジの一番上に行くまで、レバーは握ったままです。
これを気泡が出なくなるまで、繰り返します。
シリンジを外し、栓をし直します。
本当にエアーが残ってないかチェックします。
ブレーキシューを戻し、指を挟んで、レバーを引いてみます。
ここで、指にダイレクトに圧を感じたら、大丈夫。少し間をおいて圧がかかったらエアーが残っている可能性があります。
さっきまでのは後輪ブレーキでした。
次は前輪行きます。
前輪のほうがブレーキの効きが悪かったです。
気泡がじゃんじゃん出てきます。
本体側からもたくさん出て来ました。
ブリーディングが終わりました。元に戻しましょう。
いいタイミングなのでブレーキシューを交換します。このシューも入手困難です。
あともう2ペア(自転車1台分)ストックしていますが、どうしたものか・・・。
セッティングを少し見直しました。
試験走行をしてきました。制動力が戻ったことを確認。
作業終了です。お疲れ様でした。

MAGURA HS-33、ユニークでリムブレーキとしての性能も上質なものですが、メンテナンス性は最悪です。(笑)
ディスクブレーキがこれだけ普及した今、そんな人はいないと思いますが、手を出さないほうがいいですよ。(笑)

スポーツ自転車が油圧で動作するブレーキを採用するのが普通になった昨今、プロショップでもブリーディングは時間の掛かる厄介な作業のようです。
現代のブレーキのブリーディングの方法は、よりスマートになっているでしょうが、HS-33と基本的には同じです。
個人的に思うのは、油圧ブレーキ全般にリザーブタンクがあれば、もっと楽に作業が出来ると思うんですが、無いんですよね。(昔はそういう機種もあったようです)
とにかくもっと簡単にブリーディング出来るシステムが登場しない限り、最新の油圧ディスクブレーキでも、手を出したくないのが僕の正直な気持ちです。

ではまた。


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