自転車手組ホイールを組むための基礎知識

僕の忘備録をかねて、自転車のホイールを組む時に最低限必要な知識をまとめておくことにします。

タンジェント組

昔からある「Jベントスポーク」を使うホイールには、組み方にバリエーションがあります。
通常のホイールでは、ハブフランジ片側の、ある2本のスポーク同士を交差させ編んでいます。
この2本のスポークはそれぞれフランジの外側から内側に入るエルボーイン」(以下「イン」)と、内側から外側に入るエルボーアウト」(以下「アウト」)で組み合わされます。実際の作業では、これを1つの「ペア」と考えて順番に編んでいくイメージです。
アウトのスポークはインのスポークの内側を通ってリムに繋がります。つまり「交差」しています。(しない場合も例外的にあります。)

この編み方は3種類あり、ハブフランジに注目すると違いが判ります。

イタリアン組
ホイールの進行方向に対して、「ペア」になったスポークの「アウト」が前に来ます。左右のフランジどちらも共通です。
日本では長らくこの組み方が「スポーツ系自転車ホイール」の定番でした。
しかし、ディスクブレーキ用のホイールでは推奨されていません。

逆イタリアン組
文字通り「イタリアン組」の逆で、回転方向に対して「イン」が前に来ます。
シマノはディスクブレーキの前輪に、この組み方を指定しています。

JIS組
上の2つの組み方は、左右対称でしたが、「JIS組」は左右非対称になります。
リムブレーキの前輪においては、前後の区別がなくなります。
実は、シティサイクルによく採用される組み方です。
また、シマノはディスクブレーキの後輪に、この組み方を指定しています。
ローター側は、進行方向に対して「イン」が前に来るように組みます。
シティサイクルのベルトブレーキ等も同じですね。

組数

互いに交差する「ペア」のスポークをどれとどれにするのか、これも重要です。
上の写真は、「ペア」スポークの間隔が4つ開いています。
これを「4本組」と呼びます。(他の呼び方もあります。)
これは、「ペア」スポークが8つ開いているから、「8本組」。

「ペア」になるスポーク同士の間隔は必ず偶数本です。「イン」と「アウト」を組み合わせるからです。
他にも「6本組」等ありますが、ホイールのスポーク数が少ないほど、組数に制限が掛かります。
スポークの線がフランジに重なってしまうからです。


このほかに、スポークを交差させない「ラジアル組」があります。
リムブレーキ仕様のロードバイクの前輪で多く採用されていますね。

採寸

スポーク長を算出する際、ハブの各部寸法とリムの内径を測る必要があります。

リムの内部には、ニップルの一部が隠れています、この部分もリムの内径に含めないと、正確なスポーク長が算出できません。
これを「ERD」(「有効リム径」)呼びます。
測り方を解説します。
リムの内径を測ります。
ニップルに爪楊枝を差し込んでます。
ホールにニップルを差し込みます。
リムから出てきたニップルとリムの境にマーキング。
ニップルを取り出し、溝からマークまでの寸法を測ります。
これを2倍した値と、リム内径を足したものが「ERD」です。

ハブの各部寸法です。

ノギスや定規で寸法を計っておきます。

スポーク長計算

スポークの計算方法にも少し触れておきます。
ただし、「計算機」がネットに沢山あるので、それらを利用すれば問題ありません。
興味のない方はここから先は読まなくていいです。

a =ERD÷2

b=ハブフランジPCD÷2

c=ハブ中心からフランジまでの距離

d=ハブスポーク穴直径÷2

α=360÷ホール数×組数(角度)


として、「余弦定理」を用い(暫定)スポーク長Lを求めることが出来ます。

式は

L=√(a²+b²-2abcosα)

となります。

この式からさらに「三平方の定理」を使い、数値を補正します。
フランジのスポーク穴の径も差し引いた方が、より正確です。

(補正)スポーク長L2を求める式は

L2=√(L²+c²)-d

となります。
誤差は1ミリ程度ですが、スポーク長は2ミリ間違えると、かなり組みづらくなります。

長い記事になりました。

今回はこの辺で。
ではまた。

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