自転車 ギヤ比と構成の見直し

MTB用のパーツを幾つか買いました。これからパーツ交換をしていきます。
チェーンリング SHIMANO ZEE 34T。
「ZEE」はMTB用コンポーネントのブランド名です。10速用。もう製造終了しています。
CS-HG31-8 8速用カセットスプロケット。これもSHIMANO製、11-34Tです。
8速用チェーン。BBBの物を買いました。これを使うかどうかは、組み付け時に判断します。

交換の様子は、ほぼ内容が重複した記事が拙ブログにはあります。
詳細はそれを読んでいただくとして、今回は自転車のギヤ比と構成について、少し踏み込んで考えてみました。

そもそも「ギヤ比とは何ぞや」ということですが、下の式で求めることが出来ます。

前ギヤ÷後ギヤ=ギヤ比

要は、ある前後ギヤの組み合わせ(構成)で、クランクを一回転すると、ホイールは何回転するのか、その回転数が「ギヤ比」です。「〇〇倍」と表記します。

例として、前52T後13Tだと

52÷13=4

クランクを1回転すればホイールは4回転します。つまり4倍です。

ギヤ比の値が大きくなるほど、クランク一回転で、自転車はより遠くへ進みます。ただし漕ぎは重くなってしまいます。
逆にギヤ比が小さくなるほど、漕ぎは軽くなりますが、前には進みづらくなります。
この辺は多段変速の自転車に乗ったことがあれば、誰でも理解できるでしょう。

チェーンホイールとスプロケットには、色々な歯数構成が存在します。
これは、車種、走る地形や路面状況、サイクリストの走り方や力量など、様々な条件で最適なギヤ比の構成を選べるよう、メーカーが用意してくれているからです。

じゃあ実際、このMTBのギヤ比と構成をどう変更したのか、具体的に見ていきます。
変更前は前38T後11-30T。
変更後は前34T後11-34T。
表にしました。速度は26inch-1.95のタイヤでケイデンス70rpm(クランクを1分間で70回転)で計算したものです。
チェーンリングを小さくして、全体のギヤ比をそこそこ落とし、かつ最ローギアを4丁増やし、ロー側のギヤ比を更に落としました。
グラフに表すとよりイメージしやすいです。

実は去年タイヤをスリックからブロックタイヤに変更したんです。専ら街乗りに使っていたMTBで近所の里山をまったり走るようになりました。
ブロックタイヤに替えて、未舗装路は良くグリップするようになったんですが、転がり抵抗が増大してしまいました。
情け無いですが、38-11Tはまず踏めません。また、ロー30Tでは山の斜面を登るのにはちょっと心許ないです。まぁ押して登っても良いんですが。

フロントはシングルに、たったのリア8段変速なので、ギヤ一枚無駄になっているのは凄くもったいないです。
速度は落ちますが、そもそもこのタイヤでは速く走れないので、そこは切り捨てました。

もちろん、こんな面倒な作業をしなくても自転車は走ります。走りますが、より自分の走りに合った一台を手に入れたいなら、ここは深堀りしておきたいです。
それに「本当のカスタマイズ」ってこういうことですよね。


違う例も示しましょう。
エントリークラスのロードバイクに多いリア8速のギヤ構成は、クランク50-34T、カセットスプロケット11-28Tがほとんどです。

これも表とグラフを作成しました。ケイデンス80rpm、タイヤ周長は700c-25で計算しています。

平地を走る時は、比較的重いギヤ比を使います。
最も重い前50T後11Tはギヤ比約4.5倍で、時速は約47キロにまで達します。普通のアマチュアサイクリストが、果たして回せますか?
下り坂で使うよという方もいますが、脚を止めて安全な速度で下りたい方も多いと思います。

一方軽いギヤ比は、登坂時に使いますが、最も軽い前34後28、ギヤ比約1.2倍で時速約12.4キロです。よほどの急勾配でない限り、これを使う場面が頻繁にあるでしょうか?

普段ほとんど使わないギヤ板を、わざわざ組み付けているのは無駄です。なにしろ後ろのギア板は8枚しかありません。

仮に11Tとか28Tあたりを省いた12-25T、あるいは13-26Tのカセットスプロケットに交換してみるとどうなるでしょ。それぞれの歯数の組み合わせを見ます。
これは暴論かもしれませんが、最ローギヤの34-28、34-25、34-26、時速は約14キロから12キロで、意外に大した違いがありません。25T辺りでケイデンスを落としてやれば、通常の登坂ならなんとかなるでしょう。
平地を走る場合、一般のサイクリストなら頑張って時速30から40キロがせいぜいです。この速度域を担うギヤはリア11-28と12-25の場合、17T、15T、13Tの3枚です。
ケイデンス80rpmを維持しながら、17Tの時速約30キロから15Tにシフトアップすると、時速約34キロ。13Tにアップすると時速約39キロに達します。

たった2段階で時速4キロ、5キロと一気に速度と負荷が上がるわけですが、我々にとって、これはかなり辛いです。ケイデンスを一定に保つのはまぁ無理です。
その点13-26には14Tがあります。グラフを見ても速度の上昇が緩やかで、2丁飛びの時のような急激な負荷の上昇を避けられます。
当然17Tと15Tの間に16Tがあれば、14Tと同じ効果が期待できます。しかし、3種のスプロケットにはありません。
前50後16のギヤ比は約3.12倍。時速は約32キロです。一般のロード乗りにとって、これは非常に扱いやすい速度域です。
残念ながら8速スプロケットのバリエーションで、16Tが組み込まれたものはありません。

じゃあまた仮の話ですが、ドライブトレインをアップグレードして、更に多段化したとします。ここで例えば11速の11-28を思考停止的に選ぶとこうなります。

11速でも16Tが省略されています。
無理やりですが8速と11速のグラフを重ねました。時速30キロ前半の負荷は変わりません。
これだったら、スプロケットだけ13-26に交換して、8速で運用し続けたほうがお金も掛からずいいかも。

11-28スプロケット、僕の勝手なイメージかもしれませんが、一般的にはロードバイクのスタンダードというか万能なギア構成と考えられがちです。でも実際は違います。

なんだか11-28を「悪者」みたいに扱ってますが、万人に最適ではないということです。「これが一番しっくり来る」という人もたくさんいるはずです。

長々と綴って来ましたが、まとめます。

より高グレードの新車、グループコンポーネント、ホイールなどを買う前に、自分にとって理想的なギヤ比とその構成について、じっくり考えてみてはどうでしょう。
全く使っていない歯数、逆にあれば負担を減らしてくれそうな歯数が見つかると思います。
それを知るか否かで、買うものも変わってくるでしょう。

自転車って価格の高低に関係なく、自分の実力以上に速度は出せません。

でも自分にあったカスタマイズを施すことで、効率よく走ることができ、より短時間により遠くへ行くことができます。理屈としてはそうなります。
結果、より速くなる可能性がそこにあるわけです。

ではまた。

コメント