HUSKY三脚の分解とグリスアップ

Quick-Set社のHUSKY(ハスキー)というカメラ用三脚をご存知でしょうか。
もう本当に昔からある三脚で、発売当初から仕様もほぼ変わっていません。つまり数十年前に買ったハスキーが壊れても(めったに壊れませんが)、今販売されている補修パーツが適合し、またどんなに細かなパーツでも販売してくれるので、修理すれば半永久的に使用できる三脚です。
頑丈で三脚としての性能も非常に高く、よほどの悪条件でも無い限りブレる心配がありません。
特に雲台の精度の良さは特筆ものです。回転部分をロックした時に雲台が全くズレません(粗悪な雲台は結構ズレます)。
さて、僕のハスキー、二十歳のころアルバイトで貯めたお金で買い、もう30年以上使い続けています。なんとほぼノーメンテです。
ですが、流石に調子が悪くなってきました。
雲台のチルト回転(上下回転)がかなり渋くなっています。
そんなわけで今回はこのハスキー三脚の雲台部を分解、グリスアップします。調子を取り戻してくれるでしょうか。
雲台を分解するのは初めてです。取っ掛かりはどこでしょう?
このスナップリングが怪しいですね。
スナップリングプライヤーを買ってきました。「軸用」です。
プライヤーの先端を穴にはめ、リングを広げ上に持ち上げます。
スナップリングが外れました。
雲台が上に抜けます。
外れました。灰色に汚れたグリスがこびりついています。
写真中央下のシルバーの筒は構造上力ずくで抜きます。
雲台のチルト、パン回転部を分解しました。
真鍮色の金属でシルバーの鏡面仕上げの筒をはさみ、ロックする仕掛けですね。
グリスはとっくに劣化しているでしょう。量も少ないような気がします。
古いグリスを拭き取りました。固く粘土状になっていました。
ここからグリスアップです。グリスは至って普通のグリスを使いました。
金属同士、圧が掛かったりこすれる箇所にグリスを塗ります。


グリスは回転をスムースにするだけでなく、締め付ける時にも金属同士をより強く密着させる機能があります。
組み付けます。
シルバーの筒を雲台本体に戻します。
このとき真鍮色のパーツが引っ掛かり、素直に収まってくれません。
ドライバーなどで奥に押し込みながら、本体をはめ込んでいきます。
ここまで入れば、あとは押し込むだけです。
パンニング固定ノブの構造です。下の左右黒い羽の間をエレベーター先端が通ります。
上のシルバーパーツの左右切り欠きを締め付けることでロックするんですね。
雲台、パンニング機構を筒の中に収めました。切り欠きが    左右揃っているか確認。
ここも清掃後グリスアップです。
動かさないようにそっとエレベータ先端に差し込みます。
何回かトライアンドエラーを繰り返し、はめることができました。
さあ、チルト回転はどうかな。動かしてみます。
少しザラっとした抵抗は感じますが、分解前より回転は確実に軽くなりました。
まぁ使えるでしょう。
はみ出た余分なグリスを拭き取ります。
スナップリングを再びはめれば、作業終了です。お疲れさまでした。
ハスキーの雲台を初めて分解しましたが、至ってシンプルな構造でした。(だから壊れない)
昨今の三脚のトレンドは、やはり「カーボン三脚」でしょう。
ハスキーの脚部はアルミ合金製でカーボンほど軽くなく、今となっては見劣りするかもしれません。
しかし、雲台は今でも十分通用する精度と頑丈さを持っています。
嬉しいことにハスキーの雲台は単体でも販売されています。
高価ではありますが、良い物はやはり良いです。
ではまた。

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