grunge ニップルスパナ ニップルレンチについて語ります

ニップルレンチを買いました。grunge、商品名は「ニップルスパナ」と記されています。
僕は自分でホイールを組んだり振れ取りもやるので、同種の物をいくつか持っています。
まぁ1個持ってれば十分かもしれません。ただgrungeのこれは使い勝手が良さそうですし、とても安価です。どうしても気になって購入しました。
(おそらく原型になった)パークツールのニップルレンチと比較しながら、どんなものか見ていきましょう。

その前に、「ニップルレンチ」、「ニップルスパナ」とはどんなツールか簡単に解説しておきます。
自転車の「ニップル」とはホイールのこの部分を指します。
中にはネジが切ってありスポークとリムを繋げる役目をしています。要は特殊な形の「ナット」です。
「ニップルレンチ」、「ニップルスパナ」はこのニップルを回すための工具です。
多くの自転車用ホイールはハブとリムを複数のスポークで繋ぎます。
このスポークはただ繋がっているだけでなく、リムとハブを360度引っ張り合って、相応の張力つまり「テンション」が掛かっています。
テンションが弱すぎるとスポークの変形量が大きくなり、せっかく入力した力を奪い、「進まないホイール」になってしまいます。最悪ニップルやスポークの破断もあり得ます。
もっとも物には「強度」がありますので、限界以上にテンションを高めても、ホイールは壊れてしまいます。
ニップルはスポークテンションを調整するための重要なパーツです。
またホイールの「振れ」や「センター」を直す場合にもニップルを回すことで調整します。

そんなニップルをいじる作業はなかなかに繊細です。
工具は精度良く使い易いものが望まれます。

話を戻しましょう。
grungeはパークツールに比べ、形はよく似ていますが一回り大きいです。
grangeのほうがより少ない力でニップルを回せそうな気がしますね。
「摘み」部分の比較です。
どちらもスポークを避けるために「抉れ」があります。grungeはより深く抉れています。
これは最近流行の「ブレードスポーク」または「扁平スポーク」と呼ばれる、幅広のスポークでも干渉しないための工夫の様です。
ニップルの「掴み」部分です。
grungeは矢印の様な形に抜かれています。
汎用ニップルの掴み面は四角です。そのうちの3面にトルクが掛けられる構造です。
この部分、殆どのニップルレンチはコの字型になっています。2面しかトルクが掛かりません
ニップルの素材は、殆どが「真鍮製」か軽量化狙いで「アルミ合金製」です。
これらは柔らかい金属です。ニップルは舐めやすいんですね。
さらに、通常スポークのネジ部には緩み止め剤が塗られていて固着している場合もあり、尚更舐めやすくなっています。
つまりニップルにトルクが掛かる部分を出来るだけ分散させた方が良いわけです。
熟練者でもない限り、「コの字型ニップルレンチ」での作業は避けた方が無難です。
パークツールはその点を理解していて、4つの角を掴むタイプのニップルレンチを販売してくれています。
それでは実際に振れ取り作業をしてみましょう。
grungeはJIS規格に準拠した3.4mmニップルに対応します。
国内で流通している殆どのニップルはJISなので、困ることはないでしょう。
ちなみにパークツールは「赤」がJIS用で、「黒」がDT用の3.2mmです。
ニップルを銜えて回してみると、少し遊びの幅が多い気がしました。
使えるとは思いますが、気を付けないと舐めそうで、やや不安があります。
パークツールの「4つ角掴み」タイプです。僕の一番のお気に入りです。
回した感じには違いを感じませんでした。
パークツールにも遊びはありますが、grungeほどではないですね。
どっちが良いかというと、やっぱりパークツールが良いかなぁ。安心感はこっちが上かな。
ホイールを代えてみました。
同じJIS規格ニップルなのに、パークツールの「四つ角掴み」は入りません。
こんなこともあるので、遊びが少なければ良いとも言い切れないんですよ。
grungeが活躍する機会もあると思います。
ずいぶん前から自転車ホイールは、パーツを選んで「組む」物ではなく完成品を「買う」物になりました。「完組ホイール」には特殊なニップルを使うものも多く、今回取り上げた汎用ニップルレンチの出番は昔より少なくなっています。(そもそも振れ取りを自分でする人も少ないでしょう)
しかしホイールが金属製スポークを採用している場合、「振れ」や「テンション落ち」は走れば走るほど避けられません。
そんな時、お店で整備を依頼するのか自分でやるのか、もし自分で挑戦するならニップルレンチ選びの重要度は高いです。

ではまた。

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