自転車手組ホイールの整備(作業編2)


前回に続き、ホイールの整備をしています。
今回はスポークテンションを計測するところから始めます。
このホイールを最後に整備したのが、2年前のちょうど今頃です。(詳しくはこちら
スポークテンションはどう変化したでしょう。
  • フロント(左右同じ)110kgf→99kgf
  • リア(ドライブサイド)110kgf→89kgf
  • リア(反ドライブサイド)40kgf→(結線したため計測不能)
明らかに垂れてます。
スポークテンションって、少しずつ落ちてくるので気付きにくいものです。
ただ、張り直してやると、少し加速が良くなったような、踏み込んだ時のホイールの反応が良くなった感じがします。(硬いホイールを回しているというか)
反面、路面の凸凹をもろに拾い、振動で手が痺れたりします。
自分に最適なスポークテンションを探るのも、「手組ホイール」の面白い所です。
そして、どんなに高性能なホイールでも、リムとハブを金属の線で引っ張っている限り、走り込むほどテンションは落ちてきます。
じゃあニップルレンチで「ニップル」を回し、振れ取りをしながら、スポークを増し締めしていきます。
「ニップル」は、要は「変わった形のナット」です。
なのでリムから飛び出した、ニップルレンチの「掴み」は、逆ネジになります。
締めるほど、スポークはリムとハブを引っ張り合います。
「縦振れから」見ていきましょう。これはフロントホイールです。
ゲージをリムにそっと当てて、ゆっくり回転します。当然、擦過音が聞こえます。
「縦振れ」はリムの精度にも大きく左右されます。
擦過音の聞こえないところは、写真の様に少し隙間が出来ています。
これが「縦振れ」です。ホイールの「円」が少し歪になっていることになります。
ニップルを締めれば、リムとハブの間は縮まる。
ニップルを緩めれば、リムとハブの間は広がる。
これを補正していくわけですが、ゲージに擦れている部分を全て、少しづつ(1/8回転ぐらい)増し締めしていきます(これは我流です)。
擦過音が聞こえなくったら、またリムをゲージに当ててを数回繰り返します。
ぶっちゃけてしまえば、完璧な真円を作るのは無理なので、目視で誤差が1ミリ以下なら、僕は良しとしています。ここで頑張っても「横振れ」の補正次第で、また「縦振れ」が出てくる場合もあるからです。
結局リムの精度が良くないと、良いホイールが出来ません。
次は「横振れ」です。ゲージをそっと当てて回します。
擦過音が聞こえない所が振れている個所です。
仮に、右側にリムを寄せたいなら、ハブの右フランジから延びるスポークを増し締めすれば、締めた個所だけ右に寄せることが出来ます。ニップルは少しづつ回しましょう。
「おちょこ組」等と呼ばれています。
フロントは一旦置いて、リアを見てみましょう。
フロントとは違い左右が非対称で、当然スポークのテンションに大きな差があります。
縦振れ補正はフロント同様で良いと思います(我流ですけどね)。
リムは高テンションのドライブサイドに引っ張られやすいです。
こちら側のスポークだけを増し締めする形で横振れを取った方がやり易いです(これも我流です)。
「振れ取り」は追い込もうと思えば、何時までも終わりが見えません。
目視で誤差1ミリ以下なら、素人仕事としては十分じゃないでしょうか。
それにタイヤを嵌めて、空気圧を掛ければ、また微妙に振れが出てきます。
「良い加減」で止めましょう。
リムに乗せて、ゲージをハブがフレームに挟まる所に当てる。
振れ取りが終わったら、ホイールのセンターを調整しましょう。
これはリアホイールで説明します。
ゲージをフレームエンドと接触する部分に合わせる。
リアホイールは、ドライブサイドのスポークしか触っていません。
ゲージを反ドライブサイドに合わせ・・・。
このぐらいの隙間なら、反ドライブサイドを60度ぐらい締めれば、大凡合う。
ひっくり返すと、ゲージとハブに隙間が出来ています。
これはドライブサイドのスポークだけを増し締めしたせいで、リムがドライブサイドに寄って、ホイールの中心がズレている状態です。
ゲージを左右ピッタリ合わせるには、反ドライブサイドのスポーク全てを均等に増し締めしていけばいいわけです。
前輪も片側だけで横振れ補正した後、ホイールバランスを確認しつつ、反対サイドを少しずつ均等に増し締めしていくとこんがらがることもありません。
振れ取りと、増し締めが終わりました。
作業後のスポークテンションは・・・。
  • フロント(左右同じ)110kgf
  • リア (ドライブサイドのみ)119kgf
リアを少し張り過ぎた気もしますが、これで様子を見ます。
スプロケを取り付けて、ホイールの整備はひとまず終了です。
次はタイヤを貼るんですが、それはまた別の記事にしましょう。
お疲れさまでした。


追記

リアホイールのスポークテンショについて追記します。
実は良くないことが起きました。
他にも数カ所ヒビが・・・。
リアホイールのドライブサイドのスポーク穴にヒビが入っているのを発見してしまいました。
スポークテンションが高すぎたんですね。
ちょっと調子に乗り過ぎましたね。
そんな訳で、リアホイールのみ再整備しました。
  • リア (ドライブサイドのみ)119kgf→110kgf
現在、様子を見ながら走っています。
ヒビが入ってしまったリムを使い続けるのは、決して褒められたことではありませんが。
このリムが今後どうなっていくのかも、レポートしていきたいと思います。


コメント